執筆者:酒井勇貴(合同会社クレイジーコンサルティング 代表社員)
こんにちは。合同会社クレイジーコンサルティングの酒井勇貴です。
管理職が学ぶ人気スキルに”コーチング”というのがあります。
コーチングとは、端的に言えば答えを教えるのではなく、気づきを促す”質問”を通じて、部下や若手が自分で答えを見つけられるように手助けをしてあげることを言います。
スポーツの世界では”コーチ”という言葉は一般的ですが、コーチの役目は現状から理想とする状態まで選手を導いてあげることにあります。
端的に言えば
”選手を理想とする目標の達成まで導いてあげる”
ということです。
そして、ビジネスの世界でも、チームを率いる”管理職”にとって、
”コーチング”
のスキルは必須なのは言うまでもありません。
当社でもコーチングに関する研修要望は非常に多く、多くの管理職が人材育成の必須スキルとして位置付けていることが伺えます。
しかし、、、。
残念ながら、多くのビジネスパーソンが、この”コーチング”を殆ど活かせていないのです。
さて、それは、なぜなのでしょうか???
「ティーチングが先・コーチングが後」の大原則を理解しないで人材育成に取り組んでいるから効果が出ない!
これは、コーチングを本業にしている人ですら間違えているケースがあるのですが、コーチングを機能させるためには、ある大前提をクリアしている必要があります。
それは、
”相手(部下)が答えを持っていること”
です。
それか、少なくとも部下が答えを導くのに十分な材料(知識)を持っている必要があるのです。
ところが、コーチングを学びたがる多くの管理職や、コーチングを教える側も、
という意味のない二択を描いていることが往々にしてあります。
「ティーチングじゃ部下が育たない。コーチングの方が部下のモチベーションアップにつながりやすい!
「ティーチングは上から目線。一方のコーチングは横から目線だから相手の共感を得やすい!」
などなど、上辺の知識だけを学んでしまうと、このように、
という二択になりがちなのです。
そして、そもそも論として、コーチングに興味をもつビジネスパーソンの多くが、
”部下に仕事を教える”
ということを苦手としていることがとても多いのです。
「教えるのが苦手だからコーチングに興味をもつようになった」
というケースが非常に多いのです。
ですから、余計に
という思考回路になりやすいのです。
でも、先に述べた通り、コーチングを機能させるための大前提は、
”相手(部下)が答えを持っていること”
です。
「答えは持っているのだけど、どれが最適な答えなのかが分からない」
という状態の時に、コーチングは初めて機能するのです。
気づきを促す質問を通じて、部下が
「自分で最適解を見つけることができた!」
という実感を得てもらうのです。
つまり、部下に対して、まずは仕事のやり方・考え方を十分に教え込んだ上でコーチングを使わなければコーチングが機能するわけがないのです。
そう、常に、
なのです。
コーチングを駆使して部下を育てたいのであれば、
”ティーチング力”
を身につけなければならないのですね。
人材育成のあるある・・・「答えを持っていない部下に対して質問を投げ掛けるだけの上司」という間抜けなコーチングの構図。
コーチングのスキル・テクニックだけを学び、ティーチング力に乏しい管理職が繰り出す”質問”というのは、全くもって部下が答えを見つけるための
”気づき”
になっていません。
例えば、部下が既存取引先のルート営業担当から、新規開拓担当になったとします。
部下は、そもそも新規開拓をやったことがなく、その具体的なやり方・進め方・考え方が分からずに悩んでいるとします。
当たり前ですが、彼は新規開拓をやったことがないのですから、何かの問題に直面した時の解決策(答え)を持っているわけがありません。
新規開拓の手法というのは、相手の業界特性・商習慣、企業規模、流通段階、などによってやり方・進め方・考え方は様々です。
もちろん、提案したい自社の商品・サービスによってもアプローチの方法は様々です。
これらのことを十分に教えることをせずに
- 新規開拓のやり方で悩んでいるんだね?具体的には何に悩んでいるのかな?
- 君はどのように進めるのがいいと考えているのかな?
- 君が今狙っている業界のニーズってなんなのかな?
- 当社にしか提供できない解決策ってなんだと思う?
- ファーストコンタクトはどんなやり方が適切なのかな?
- 他にはどんなやり方があると思う?
というような典型的なコーチングかぶれ(笑)の質問を部下に浴びせても、部下にとっては
「それが分からないから困っているんですよ!」
という気持ちにしかならないのです。
部下の”気づき”を促すためのコーチングの質問は”具体的”でなければならない!
先に述べた、
という大原則に従ってコーチングを駆使したとします。
しかし、それであってもコーチングというのは中々使いこなせないものです。
その典型的な病状は、
”質問が抽象的すぎる”
というものです。
多くの場合、部下は自分の困りごと・悩み事を”抽象的”に表現してくるものです。
例えば、
「テレアポをやったのですが、全然うまくいきませんでした・・・」
という感じです。
この時に、
- もし理想を10点としたら、今回のテレアポは何点くらいかな?
みたいな典型的なコーチングかぶれ(笑)の質問を部下にしたら相当ヤバいです。
(ちなみに、こういう質問を”スケーリングクエスチョン”と言います)
そうではなく、
- 全然うまくいかなかったというけど、1件もアポが取れなかったのかな?
- 具体的には何件かけて何件アポが取れたのかな?
- どんな内容・話し方でテレアポをしたのかな?
- なぜ、この業界リストを選んだのかな?
- アポが取れたパターン・取れなかったパターンを比べると、何か違いや共有点があったりしないかな?
- その違いや共通点から、何か気がつくことはないかな?
というように、具体的な質問をして具体的な情報をお互いに認識し合う必要があるのです。
なぜなら、事実を掴まなければ、次に繋がる良い気づきなど手に入るわけがないからです。
ここで重要なのは、
”具体的とは何か?”
ということです。
効果的なコーチングの必須要件。コーチングにおける”具体的”とは”6W2H”のことである!
そう、
”具体的”
とは
"6W2H"
のことを言いいます。
"6W2H"
とは、
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- Whom(誰に)
- Why(なぜ)
- What(何を)
- How to(どのように)
- How much(いくら)
の頭文字を取ったものです。
このような切り口で具体的に質問をしていくことで、部下の悩み・欲求を具体的に掴んでいくのですね。
まとめ
もし、コーチングを学んで、それを部下育成に活用したいのであれば、
という無意味な二択を真っ先に捨ててください。
部下育成におけるコーチングの原理原則は、
ですよ。必ず、守ってくださいね。
*****************************
チャンネル登録して頂けると嬉しいです!
「いいね!」もよろしくお願いします(^o^)/。