執筆者:酒井勇貴(合同会社クレイジーコンサルティング 代表社員)
皆さん、こんにちは。
8/3にものづくり補助金の3回目の締め切りがあるのですが、たった今、その3回目の締め切り分のご支援がひと段落しました。
もう、全力を尽くして疲れてしまっていますが。。。
弊社では、今年度も1次・2次、そして今回の3次と、かなりの件数をお手伝いさせて頂いていますが、お陰様で今のところ支援先は全て採択。
要するに100%ということで、この支援の成果を出していく中で感じ取った”採択率アップの秘訣”を少しかいつまんでお伝えしたいと思ってこのブログを書いています。
- ものづくり補助金の申請書(事業計画書)の書き方は?どんなことに注意して書けば採択率アップに繋がるのか?
- ①採択率アップに繋がるものづくり補助金の申請書(事業計画書)の構成。。。それは”黄金比率=6:3:1”である!
- ②公募要領の中に記載されている”審査項目”に採択率アップのポイントがびっしり詰まっている!
- ③採択率をアップさせたければ、文章だけでなく”写真・グラフ・図表”を徹底的に駆使しよう!
- まとめ
ものづくり補助金の申請書(事業計画書)の書き方は?どんなことに注意して書けば採択率アップに繋がるのか?
ここでお伝えしたい“採択率アップのポイント”は、大きく分けると3つあります。
その3つが何かというと
まず1つ目は、申請書作成(事業計画書作成)の黄金比率です。
この黄金比率は”6対3対1”。です
これが何を示しているのかについては、この後ちゃんとお伝えしますね。
そして2つ目は、これはもうどこでもよく言われることですが、とても大事なポイントである“審査項目に忠実な見出し”です。
そして3つ目は、文章意外にも大切な要素がたくさんあるんですよ、ということです。
それは“写真・グラフ・図表・文字”です。
今年度は、まだあともう2回も申請のチャンスがありますから(正確には今日の時点でまだ8/3を迎えていませんので、厳密にはあと3回ありますが・・・)、そこで申請を考えているのであれば、今回のブログの内容がお役に立てば良いなと思っています。
①採択率アップに繋がるものづくり補助金の申請書(事業計画書)の構成。。。それは”黄金比率=6:3:1”である!
それでは早速、1つ目の“黄金比率=6:3:1”の内容を見てみましょう。
ここで言う黄金比率”6対3対1”というのは何を言っているのかというと、申請書(事業計画書)の枚数配分のことを言っています。
ものづくり補助金の申請書(事業計画書)というのは、
その1
その2
その3
という3つの構成になっています。
そして、これらを合計して“10枚”に納めることが求められています。
それで、、、
これは、我々のようなものづくり補助金の申請支援のプロでも迷うのが、
その1
その2
その3
をこの“10枚”の中でどう割り振ったらいいのか、ということなのです。
そう、採択されている申請書(事業計画書)は一体どういう構成になっているのかというのを誰も教えてくれていないのです。
このブログでは、それを明らかにしようと思います。
クライアント様の採択率を最大化するために、弊社ではどういう構成で申請書(事業計画書)を作っているのかというと、それが先の黄金比率なのです。
つまり、
-
その1:6枚
-
その2:3枚
-
その3:1枚
これは少なくとも弊社の申請書作成(事業計画書作成)においては、全ての支援先で共通してこの構成を採用しています。
ものづくり補助金の申請書(事業計画書)の”その1”には主に技術面に関する内容を書く。
まず、その1には、
主に技術的な内容を書きます。
例えば、
- どんな課題があって
- どんな達成目標があって
- どんな解決策を考えていて
- それをどんなスケジュールで進めてくのか
ということを書きます。
ものづくり補助金の申請書(事業計画書)の”その2”には主に事業面に関する内容を書く。
その2には、主にこの補助事業がこの対象としているマーケット(市場)やお客様、そしてお客様から見た時に競合と比べてどんな優位性があるからこそお客様から選ばれるのか?などを書いていきます。
ものづくり補助金の申請書(事業計画書)の”その3”には主に売上・利益面に関する内容を書く。
そして、その3には、主に今後5年間の売上・利益の計画とその算出根拠を書いていきます。
営業利益、減価償却、付加価値額、人件費、給与支給総額などなど。
これらが今後5年間でどのように推移するのかなどについて、算出根拠(“例:売上=客数×客単価”など)を明確にして書いていきます。
”算出根拠”と言われるとピンとこないかもしれませんが、要するに内訳を書いてほしいということです。
審査項目を意識して重要要素を漏らさずに書いていくと、自ずと黄金比率に近づいていく。
この後、詳しく書いていきますが、本当に審査項目に沿って大事な要素を漏らさずにちゃんと書こうとすると、自ずと、
その1:6枚
その2:3枚
その3:1枚
という構成に落ち着きます。
「採択されている申請書はどんな構成になっているのか?」
その問いに対する私の答えは、
その1:6枚
その2:3枚
その3:1枚
です。
是非、参考にしてくださいね。
②公募要領の中に記載されている”審査項目”に採択率アップのポイントがびっしり詰まっている!
では、次のトピック“忠実な見出し設計”に行きましょう。
先ほど、
本当に審査項目に沿って、大事な要素を漏らさずにちゃんと書こうとすると、自ずと、
その1:6枚
その2:3枚
その3:1枚
という構成に落ち着きます。
と書きましたが、その“審査項目”とは、もう他からも耳にタコができるほど聞いているかも知れませんが、ものづくり補助金の“公募要領”というルールブックみたいな書類に記載されています。
これに沿って、その“審査項目”を漏れなく満たした“見出し”を作って申請書(事業計画書)を書いていくと、自ずと先に述べた黄金比率に落ち着いていくのです。
そして、この“見出し”についても、会社ごとに若干アレンジをするときもありますが、弊社では基本的にはどの申請書(事業計画書)でも同じ見出し構成を使っています。
その“見出し”がどのようなものになるのかというのを、ひとつひとつ解説すると、それだけ6時間とか10時間とかかかってしまいますので、ここでは簡単に要点をかいつまんでお話しします。
例えば”技術面”では、こんなことに注意して申請書(事業計画書)の見出しを作っていこう!
例えば、審査項目には“技術面”という大きな括りがあります。
この中に、こんな記述があります。
- 課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか。
これは何を言っているのかというと
“今の設備が古いから買い換えたいんです!”
ではダメだと言っているのです。
申請書(事業計画書)”設備更新”と書いたら本当は即失格!
あ、せっかくなので、ついでに言っておくと、ものづくり補助金の申請書(事業計画書)に“設備更新”と書いたらダメですからね。
「現状の設備は老朽化が進み・・・の精度が出せないので、最新のXX-YYZZに設備更新をして加工精度の目標を達成する」
なんて、絶対に書いてはいけません!
なぜなら、そもそも“ものづくり補助金”は単純な設備更新は対象外だからです(これを未だによく理解していない専門家も稀にいますので要注意です)。
要するに、今ある技術的な課題を解決する上で“この設備が必要”という展開でなければダメなのです。
課題設定と達成度。そしてスケジュールが重要!
つまり、今どんな問題が生じていて、それを解決する上で一体どういう課題を設定するのか?
課題1、課題2、課題3、そして、それぞれの課題について、一体何が確認できたら、どんな目標が達成できたら課題クリアとするのかという”達成度(達成水準)”を明示しなければなりません。
例えば、課題1については、
「現状はこのような数値なのだけど、今回の設備投資と強みを活かした創意工夫により、この数値をXX以下にする。」
という感じです。
例えば、工程上のボトルネックを解消して6時間かかっていた加工を3時間にする。
例えば、○○の検査精度をXX%高めて不良率が3%だった特殊加工の不良率を1%以下にする。
みたいな感じで書いて下さいね、となっているのです。
そして、このようにも書いてあります。
- 補助事業実施のための技術的能力が備わっているか。
つまり、この補助金を使って設備投資をして、今抱えている課題を解決する上で、
「設備さえあれば大丈夫なのだ!」
ではなく、
その設備の能力・機能・卓越性に加えて、これまで自社で培ってきた技術的な強み・ノウハウの中で何がどう活かせるのか(技術的能力が備わっているか)を示してくれと言っているのです。
このように、ただ新しい設備があれば済んでしまうというのではなく、その設備にプラスアルファして、皆さんがこれまでの事業展開の中で培ってきた技術的能力がどのように資するのか?
そして、そもそもその技術的能力が本当に皆さんに備わっているのか?
これをしっかりと書いて欲しいと行っているのです。
これが読み取れれば、見出しは簡単に決まってきますよね。
例えば、
【補助事業実施に必要な技術的能力】
というように見出しを書いて、その内容を具体的に書いていくわけです。
そして”事業化面”では、こんなことに注意して申請書(事業計画書)の見出しを作っていこう!
あと、審査項目には“事業化面”という大きな括りもあります。
“事業化面”には、こういう表現があるんです。
- 補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。
と書かれています。
これは、かなりわかりにくい文章ですよね?
「ライバルと比べて何がどう凄いのか?」を申請書(事業計画書)の中で明確に示そう!
要するに端的に言えば、
「皆さんが補助事業に取り組んだあと、新たな生産方式や試作開発の後にリリースした商品・サービスが、最終的にマーケットを出た際、ライバルと比べて何がどう凄いのか?」
ということを書いて下さいね、と言っているのです。
- 値段的に優れているのか?
- 性能的に優れているのか?
できれば比較項目を上げて比較表みたいな感じで示せると良いですよね。
見出しは、
【補助事業の成果の優位性】
という感じでしょうか?
こんなところが優れているから、こんなお客様のこういう悩み・困りごとを解決できる。
そして、これが売上・利益に繋がっていく、というストーリーにしたいわけです。
スケジュールと言われたら”ガントチャート”が基本!
そして、
「事業化に至るまでのスケジュールはちゃんとしていますか?」
と審査項目で問われていますね。
ここで、
”スケジュール”
と言われたら、
”誰が・いつまでに・何を・どの順番でやるのか?”
という要素を要素を漏れなくまとめて欲しいのです。
そのまとめ方の基本は”ガントチャート”です。
このガントチャートでは、列方向に4月、5月、6月、7月というように時間的要素が書いてあって、行方向にやるべき項目がずらずらと書かれている。
そして、矢印で引っ張って”何を・いつから・いつまでやるのか”を示していくのです。
しかもできれば、一つ一つの項目について、この項目では何をするのか?この項目では、どんなことをするのか?という説明を書いてもらえると、審査員から見た時により良い印象になります。
見出しは、
【事業化に向けたスケジュール】
という感じでしょうか?
ものづくり補助金の採択率をアップさせたければ、とにかく”審査項目”に沿った見出し構成で申請書(事業計画書)を書こう!
どんな見出し構成で申請書(事業計画書)を書いて行けば良いのか?
もし迷ったら、審査項目に戻って意図を掴むようにしましょう。。
なぜなら、すべてはこの”審査項目”に書かれているからです。
必ず、熟読しましょうね。
③採択率をアップさせたければ、文章だけでなく”写真・グラフ・図表”を徹底的に駆使しよう!
そして、最後の3つ目のです。
写真・グラフ・図表・文字・・・。
これは別に優先順位別に並べてるわけではないのですが、これは何を言っているのかというと、ものづくり補助金の申請書(事業計画書)を書く時に、みんなが困るのは技術的なこと(特にIT系のような無形サービス)をいちいち言葉に落とし込んで文章化しなければならないということなのです。
これは、私たちのようなプロでも多かれ少なかれ同じです。
言葉・文章にするのって、本当に難しい。。。
「書けなかったら写真・図表」を合言葉にせよ!
でもですよ、写真で示すことができるのなら、写真で良いじゃないですか?
例えば、
「ある特定の環境下で、お客様のご要望に応える条件で加工をしようとすると
どうしてもある部分に特徴的な不良が発生しやすい」
というのを文章でだらだらと書くぐらいだったら、写真で示した方が誰にとってもわかりやすいですよね。
不良発生の因果関係を図にして示したらグッとわかりやすくなりますよね。
マーケット情報はどんどんグラフを引用しよう!
そして、マーケット情報に関しては、外部の調査データ(グラフ)などを引用して、
- 対象市場が伸びているのか?
- 縮小しているのか?
- 或いは、全体としては右肩下がりなのに、特定の分野だけ急成長しているのか?
などを示せればグッと説得力が増しますよね。
このように”文字”で表現することに拘らずに”写真・グラフ・図表”を駆使した方が読む方にとってはずっとわかり易くなりますよね。
”写真・グラフ・図表”を十二分に駆使して、その上で足りないところを文字(文章)で補えば、さらにわかり易くなると思うのです。
ものづくり補助金に限らず、申請書関係では”箇条書き” の多用に要注意!
ちょっとここで、”文章”を書いていく時に注意してほしいことがあります。
申請書(事業計画書)を書いていると”箇条書き”で書きたい時がありますよね?
これは人によって意見が食い違うところなのですが、”箇条書き”はやめた方がいいです。
特に”箇条書き+体言止め”のセットはダメです。
もちろん”箇条書きスタイル”というだけであって、ちゃんと”文章”になってれば問題はありません。主語・述語で構成されている文章であれば大丈夫です。
ところが、本当にただのビジネス文書的な感じで、要素・項目だけを書き連ねた無機質な箇条書きだけで結構な分量を書く方がいらっしゃるんです。
これは避けた方が無難です。
例えば、公的な文章。
今回の”ものづくり補助金”の公募要領でもいいので見てみてください。
”箇条書きスタイルの文章”はあっても、ただ要素・項目を羅列したような箇条書きは殆ど無いはずです。
ちゃんと”文章”になっているはずですよ。
例えば、ものづくり補助金の説明会に行くと、必ず
”わかるように文章で書いてください”
って言われんですよ。
ちゃんと”文章”にしてください。。。
これは「箇条書きはやめてくれ」と言っているのです。
なぜなら、箇条書きは”文章”ではないからです。
ちゃんと、主語・述語がはっきりしていて、左から順にに読んでいけばわかるようになっていなけばダメなのです。
要素・項目だけを書いた箇条書きというのは、わかる人が読めばシンプルでわかりやすいかもしれません。
しかし、箇条書きはわからない人が読んでも、全くわからないのです。
例えば、”箇条書きの説明書”って無いですよね?
わかるように丁寧に説明しようとしたら、文章スタイルになるはずなのです。
さて、ここで、実際に採択された申請書のイメージを見て頂きましょう。
実際に”ものづくり補助金”に採択された申請書(事業計画書)は、想像以上に図表だらけ!記載例(記入例)・サンプルを見てみよう!
これが実際の採択された申請書(事業計画書)の作成例(記載例)・サンプルです(弊社で支援をした申請書であり、クライアントの許可を得て掲載しております)。
見て下さい。
写真があって、写真があって、写真があって、グラフがあって、、、、。
それに、表スタイルの部分もすごく多いですよね。
文章は、思っている以上に少なく見えませんか?
私たちプロが仕上げるものづくり補助金の申請書(事業計画書)は、実はこんな感じなのです。
もし、
「箇条書きで簡潔に書きたいなあ・・・」
と思ったら、
それは箇条書きではなく”表形式”にまとめてください。
その方が、審査員としては高評価だと思ってくださいね。
まとめ
今回のブログでは、こんな感じで”採択率アップの秘訣”を3つお伝えしました。
1つ目は黄金比率。
2つ目は審査項目に忠実な見出し設計。
そして3つ目は、文章に拘らずに”写真・グラフ・図表”も十分に有意義に使ってきましょうね!
という話をしました。
ものづくり補助金の4次・5次の申請に向けてチャレンジをしようと考えている方にとっては、少しはお役に立つ内容だったかな?と思います。
ぜひ、参考にして頂いて、自力で申請するのもいいですし、信頼できるコンサルタントの方がいらっしゃれば、その方たちの力も借りて、是非とも採択を勝ち取ってください。
そして、力強い素晴らしい事業展開をしていってください!応援しております。
なお、今回の内容は、弊社の公式YouTubeチャンネルでも動画で解説しております。
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【採択率アップ】ものづくり補助金に採択された申請書(事業計画書)の書き方はどうなっているのか?
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